
老後の諸問題
白内障の多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術
白内障の「多焦点眼内レンズ」を用いた水晶体再建術は、2008年7月1日に先進医療に組み込まれたのですが、
単焦点眼内レンズの再建術は公的医療保険が利くですが、こちらは保険が利かず、とても高額な費用でした。
それで生命保険会社の商品の医療保険に特約として付帯され、この再建手術の費用が支払われておりました。
保険会社の「先進医療保障特約」は他にもたくさんの高度な医療技術の先進医療が担保されており、
例えばがん治療の陽子線治療、重粒子線治療などは数百万円もかかり、それらの費用が保険で支払われます。
こうした医療保険に加入していた方は、高額の手術費用が補填され、とても助かるのではないでしょうか。
白内障の多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術、先進医療の対象から外れる
このようにとてもメリットがあったので医療保険にこの先進医療特約を附帯する人が多かったのです。
そうした事情もあり、白内障の多焦点眼内レンズでの再建手術の実施数が、次の図表のように高額な癌の治療などよりもダントツトップが長年続いておりました。
◆多焦点眼内レンズの再建術が先進医療から外れた理由
2020年4月1日から多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術は先進医療から除外されてしまいました。
なぜ外されてしまったのかその理由と、その後のことを解説していきますので、最後までご覧ください。
●生命保険の「先進医療保障特約」で実施件数が増大
では、もう少し詳しくこの経緯についてみていきましょう。
先進医療による治療費用だけでも片眼で約30万~50万円かかり、技術料の部分は全額自己負担で高額であるにもかかわらず、
急激に多焦点眼内レンズを入れたいという人が増えた大きな原因と言われているのが、
さきに述べたように、生命保険会社の医療保険の「先進医療保障特約」で技術料が全額保険金として支払われるというメリットが大きかったからでしょう。
医療機関でも「医療費負担が軽減されるから」と保険加入を推奨しているケースもあったくらいです。
保険会社も先進医療保険金の支払いが多くなりすぎたため、先進医療保障の対象から外したり
一定期間保障の対象外の期間を設けたりする保険会社も出てきていました。ここは数年前から問題視されていたのです。(企業は支出が増えて困るのでしょうが多くの患者は助かっていました)
●治療としての有効性・効率性がまだ十分に示されていない
今回の改訂のもう一つ大きな理由は、
多焦点レンズは焦点が近くと遠くの2点あり、近くと遠くの両方を見ることができます。
遠近両用の眼鏡のようなイメージで、メリットがあり希望する人も多かったようですが・・・・。
( 詳しくはこの記事でご覧ください ↓ )
白内障の手術は多焦点レンズと単焦点レンズどっちがいいの?費用のちがいは?
ただ残念なことに、この手術の効果が、すべての方に保障されるわけではなかったのです。
眼鏡をかける頻度が減るなどQOLの向上が得られるというメリットがありますが
夜、光などをまぶしく感じる場合もあり、夜間の運転には向きません。
色の濃淡が低い時には見えにくいなどのデメリットもあるわけです。
このように治療としての有効性・効率性がまだ十分に示されていないということもあるため、不具合例なども考慮した上で、今回、令和元年12 月5日に開催された第81 回先進医療会議において先進医療から除外が適当と評価されました。
そもそも先進医療というのは、厚生労働省が指定した新しい医療技術の有効性、安全性などを評価するための医療です。治療効果、安全性、患者の負担、治療の選択肢などから考えて、常に新しい技術が追加されたり逆に削除されたりしているのです。
白内障の多焦点レンズ再建手術が先進医療から除外のその後の解説
では、先進医療から外れて、どうなるのでしょうか?
多焦点眼内レンズ代は選定療養(自己負担)、手術技術料は健康保険の適用となりました。
これまでに比べ、患者様の自己負担額が軽減されましたが
レンズ代は「選定療養」という形になり、保険外併用療養に分類されます。
治療としては評価されないけれども、患者さんの択肢のひとつとなるわけです。
◆先進医療から外れて「選定療養」となる
●「選定療養」とは?
「選定療養」とは、社会保険に加入している患者が、追加費用を負担することで、保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる医療サービスの一種となります。
今までに比べて、患者様の自己負担額が軽減されました。
もう少し詳しくいうと、
平成18年10月1日より、健康保険法の一部を改正する法律において、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、従前の特定療養費制度が見直され、
評価を行うことが必要な「評価療養」と、
特別の病室の提供などのような「選定療養」とに再編成されました。
「評価療養」「選定療養」はいずれも健康保険等からは給付されません。
「評価療養」とは、厚生労働大臣が定める、高度の医療技術を用いた療養その他の療養で、将来、公的保険給付の対象とするべきかどうか評価を行うものをいいます。
先進医療は「評価療養」のひとつです。
(今回は先進医療であった多焦点眼内レンズの水晶体再建術が「評価療養」から外れて「選定療法」に組み込まれたわけです。)
「選定療養」とは、厚生労働大臣が定める、患者の快適性・利便性を求める療養、医療機関や医療行為等を選択できる療養のことをいいます。
先にも記したように、社会保険に加入している患者が、追加費用を負担することで、保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる医療サービス、保険外併用療養に分類されるのです。
まとめ
先進医療から外されたということは、将来的に公的医療保険の適用になることはないと思います。
今一度念を押しますが、
白内障の水晶体再建術は2020年4月1日から先進医療から除外されておりますので、生命保険会社の医療保険先進医療特約の対象にはなっていないということを憶えておきましょう。




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